植物と土壌pHの関係
土壌の酸性を表現する方法には、酸度とpHがあります。酸度は、酸性の矯正のための中和石灰量を知ることを目的としています。pHは、土壌の酸性の程度を知ることを目的としています。
土のpHは植物の生育と大変深い関係があります。pHが変化すると、植物の生育、土壌中の微生物などの生物の活動や土壌構成物質の形態や性質、養分の有効性が変化します。
例えば、あじさいの花は、土壌が酸性であれば青色、アルカリ性であればピンク色のあじさいになります。
酸性化の影響
土の酸性化は、石灰や苦土、カリなどが少なくなるとおきます。反対にそれらが多くなると中性・アルカリ性になります。雨の多い日本では、表石灰などが流されやすく、土壌中が酸性になりやすいです。
土壌が酸性になると以下のようなことがおこります。
●養分の欠乏
石灰や苦土の欠乏が考えられます。そのほか、微量要素のモリブデンは酸性土壌では、溶解度が小さくなり、作物によっては欠乏をおこします。
●土壌微生物の活性低下
チッソを植物に吸収しやすい形にしたり、空気中のチッソを肥料分として取り入れる土壌微生物では著しく落ちてしまします。酸性では分解力の強い細菌は少なく、有機物の分解も弱くなってしまします。
●土壌団粒構造の破壊
酸性土壌では腐植土壌の団粒構造を壊してしまいます。
酸性土壌に強い樹木・弱い樹木
●酸性土壌に強い樹木
紫陽花、イチジク、モミ、アザレア、シャクナゲ、サツキ、エリカ、ユーカリ、クスノキ、くるみ科(ヒッコリー、ペカン)、ツツジなど
●酸性土壌に弱い樹木
オリーブ、ツバキ、ヤマモモ、サザンカ、バラ、ツゲ、サンゴジュ、カイヅカイブキなど
pHの調節
植物にはそれぞれに適する土壌のpHがあります。一般に栽培される植物には、弱酸性~中性の土壌を好むものが多く、アルカリ性の土壌を好む植物は少ないです。pHが低くなった酸性の土は、石灰資材を土に混ぜて調整しなければなりません。一般には苦土石灰が使いやすく安全です。
しかし、多く加えすぎるとpHが高くなりすぎてアルカリ性になってしまい、逆に障害が出たりと生育が悪くなりますから、量に注意しましょう。pHが高くなりすぎてしまった場合には、ピートモスなどの酸性資材を土壌に加え、石灰分を吸収させて調整することが必要になります。
※pHテストの器具は、園芸店やホームセンターで販売しています。
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